知に関する話

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270万部の「知のバイブル」

「東大・京大で1番読まれた本」という宣伝文も話題となり、昭和61年に文庫化されてから累計270万部を超える、今や「知のバイブル」となった感があるロングセラーの増補改訂版。

新版思考の整理学

4年前に死去された著者が平成21年に東大で行った特別講義を新たに収録し、文字も大きくなり発刊され、2月に初版10万部で発売されました。

外山滋比古さんといえば「知の巨人」として知られる英文学者、文学博士、評論家、エッセイストで、専門の英文学を筆頭として、日本語、教育、意味論などさまざまな分野を横断する評論やエッセイは、2020年7月の逝去後も長く支持されています。

毎年多くの学生が購入しているといわれていうこの本、ただの学生向けと侮ってはならず、ここには「思考」の本質が描かれています。

自分の頭で自由にものを考え、何かを創造するために必要な心掛けを説かれ、着想をしっかり寝かせ、ときに異質な考えと混ぜ合わせながら、抽象の次元へと導いていく、そんな創造の道のりを説明する中で強調されているのが「忘れること」の大切さ。

知識が詰まっていれば、考えが深まるというわけではなく、不要な知識を捨てる「忘却」こそが混乱しがちな思考を整理してくれ、のびやかな発想へとつながるのだそうです。

広い視野とシャープな論理で知られる著者が、自らの体験をもとに提示する恰好の「思考法」入門書。